不妊治療について

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体外受精の前に内容をよく知っておく必要があります

体外受精と言われてもよく分からず不安です。

体外受精(IVF)は一般の不妊治療でなかなか妊娠できない難治性の不妊の治療法として広く普及しています。卵を卵巣から取り出し、体外で精子と受精させ 2〜5日ほど培養し得られた受精卵(胚)を子宮に戻し妊娠を促す方法です。精子の状態が悪く受精が難しい場合は、卵の中へ直接一個の精子を注入する顕微授精(ICSI)という方法を用います。IVFやICSIなど卵を体外で操作する不妊治療をARTとよびますが、これら全てを広義の意味を含めて体外受精とよんでいる人もいます。
不妊カップルにとって、ARTでどの程度の成功が望めるか、どこで治療を受ければよいのか、ARTでなにか合併症が起こらないか、など知りたい情報はいろいろあると思います。ARTに進む前に十分な説明を受け、納得して治療に入ることが大事です。

ART 成功率を詳しく知りたいのですが

日本産婦人科学会では全国の医療施設から提出された体外受精の結果を毎年報告しています。出産の結果を含めたデータを集計するため、2年前に行われた体外受精の結果が公表されます。現在、一番新しいのは2001年のデータで、2003年の秋の学会雑誌(55巻 10号)に掲載され、インターネットでも閲覧できます。この報告書には個々の個別的なデータや患者の年齢別の成績は含まれておりません。

欧米でも各クリニックの情報は開示されていないのですか

アメリカでは法律に基づいて政府の機関である米国疾病管理センター(CDC)が米国体外受精学会に命じ、個々の医療機関のデーターを集め、全国統計のみならず個々のクリニックの成績を公表しています。イギリスでは公的機関であるヒト受精・発生学委員会(HFEA)が個々のクリニックのデータを含め公表しています。これらのデータはインターネットで誰でも見ることができます。

日本では個々のクリニック情報は直接自分で聞かなくてはなりませんね

ART による治療を考えて居る場合は、それぞれのクリニックで十分説明を受け良く理解した上で、ARTを受けるか否かご自分で判断して下さい。対応が整っているか否かでクリニックが評価されることもあり、体外受精コーディネーターとよばれる専門スタッフが、医師に代わりARTに関する疑問や悩みなどに積極的に対応してくれるクリニックも増えています。

ARTの成績はどの患者にも当てはまるのですか

一般的な治療成績をそのまま、個々のカップルに当てはめるわけにはいきません。妊娠のしやすさ(妊孕性)はカップルによって異なります。特に、女性の年齢が重要な因子で、年齢別成績を含めいろいろな情報を理解しておく必要があります。日本産婦人科学会統計とアメリカのCDCの詳しいデータも参考にし、是非知っていただきたい事柄を、以下説明します。

ARTによって何割くらいがわが子に恵まれるのでしょうか

CDC の報告では卵巣刺激が始まっても採卵出来るのは86.0%、胚移植が出来るのは80.8%、妊娠出来るのは32.8%、分娩出来るのは27.0%です。採卵当たりの生産分娩率は31.4%とかなり良い結果ですが、多胎妊娠率が36.7%と高いのが問題となっています。日本の2001年のARTの統計では、採卵当たりの生産分娩率は体外受精で15.4%、顕微授精で13.9%あと可成り低い値ですが、多胎妊娠率は体外受精20.9%、顕微授精18.2%ちアメリカより可成り低値です。今後、日本においては多胎妊娠率を上昇させずに、生産分娩率の向上をはかる努力が求められています。

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なぜ治療が中断されるのですか

採卵前の治療が中断された周期は14%で、これらの84%は適切な卵胞の発育が認められなかったのがその理由です。その他の理由は、卵巣が過剰に反応し卵巣過剰刺激症候群の起こる恐れがある、たまたま不妊とは関係のない病気が起こった、また本人が採卵を望まなかった、などです。

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ARTの成功率はどのように評価しますか

ARTの成功率は6つの指標で判断します。

1)刺激周期当たりの妊娠率: 卵巣刺激が始まった周期の中で臨床的妊娠に至った周期の割合です。ARTにおいては、単に妊娠反応が陽性になったものは化学的妊娠とよばれ、一般に正式な妊娠とは見なされません。統計で用いられる妊娠は臨床的妊娠を意味し、超音波診断で胎嚢(日本産婦人科学会が採用)や胎児心拍(欧米統計で採用)が確認されたものです。

2)刺激開始周期当たりの生産分娩率:卵巣刺激が始められた周囲の中で、生児を出産した周期の割合です。不妊治療は生児を得るのが目的ですから、不妊カップルにとってはこの数値が最も重要です。
3)採卵当たりの生産分娩率:採卵を行った周期の中で、生産分娩(生児出生のこと)に至った周期の割合です。

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4)移植当たりの生産分娩率:移植可能な胚が得られ移植が行われた周期の中で、生産分娩に至った周期の割合を移植当たりの生産分娩率といいます。この移植当たりの生産分娩率はいろいろな成功率を示す指標のの中で一番高い値が得られます。

5)刺激周期当たりの単胎生産分娩率:卵巣刺激が始まった周期の中で単胎児が出産された周期の割合です。ARTでは多胎妊娠の発生率が高く、それに伴う合併症も多いため、この単胎生産分娩率はARTを評価するために大事な指標となっています。

6)移植当たり単胎生産分娩率:移植に至った周期の中で単胎分娩に至った周期を移植当たり単胎生産分娩率とよびます。

アメリカの国内統計では、これら6つの指標をもとにARTの成功率を評価しています。2001年の成績は上図に示した通りです。

専門医、体外受精コーディネーターのアドバイス

一般にいおろいろな雑誌などで発表される数値は体外受精の妊娠率と簡単に示されていることが多いですが、実際には治療が始まってから、何割かのカップルが分娩に到るかということが重要です。また、治療の過程、妊娠、出産に当たって母児の健康が損なうことがないよう配慮した治療であることも重要なことです。ARTに過大評価や過小評価は禁物です。不明な点や疑問の点は担当医や対外受精コーディネーターにお聞き下さい。

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