不妊治療Q&A

Q&A

【1】不妊症とは

17. 免疫性不妊

 女性の体内に精子と結びついて、その運動性や受精能力を損なう抗体と呼ばれる物質があることがあります。また、卵子の膜と結びついて卵子の発育を障害する抗体があることもあります。また、男性の身体の中に精子と結びついてその働きを障害する事もあります。

 これら抗体が不妊に関与している場合を免疫性不妊と呼び、不任患者の5~10%に見られます。原因不明の不妊の女性の約13%に精子を不動化する抗精子抗体が見いだされ、抗体クラスは主としてIgGIで補体の存在下に精子を不動化します。精子の表面抗原に抗体が結合し、それにさらに補体が結合すると精子は不動化します。この抗体は頚管粘膜、子宮腔、卵管内、卵胞液内にも出現します。抗体が精子の尾部の膜に結合すると、その一部に損傷が起き、それが細胞内pHや浸透圧に影響を与え、精子は運動を停止するのではないかと考えられています。

 精子凝集抗体も不妊の原因になりえますが、この反応は非特異的にも起こることがあり、判定は慎重に行う必要があります。

 女性側に抗精子抗体が発現するのは当然ながら結婚後に精子にさらされた結果ですが、男性に抗精子抗体が発現するのは精管閉鎖や精管結紮のような場合に、精子が精管外に滲出しそこでマクロファージに捕捉され、抗体産生リンパ球に情報が送られる結果、抗体が産生されるものと考えられています。