不妊治療Q&A

Q&A

【4】不妊症の治療について

7. 排卵誘発剤に副作用はないのですか

 無排卵症に排卵誘発剤は極めて有効ですが、時にHMG―HCGによる排卵誘発に伴い卵巣が腫大、腹水、時に胸水を認めるようなことがあります。これを卵巣通過刺激症候群(Ovarian Hyperstimulation Syndrome:OHSS)と呼びます。この症状が重くなると血液循環動態にも影響を与え、時には血栓症や呼吸障害を起こすことがあります。この症状が見られたら速やかに有効な治療を行わなければなりませんが、この治療は難しく産婦人科医が対応に苦慮しているのが現状です。そのためにあえてHMGのような強力な誘発剤を使用しないという医師もおります。しかし、ただ恐れていては妊娠は望めず、慎重にフォローアップし合併症の起こらないように管理することが必要となります。

 HCG投与日の血中エストラジオールが3000pg/mlを越える場合、多襄胞性卵巣症候群(PCOS)の場合、また妊娠した場合などに重症化する例が多く見られます。リスクが高いと判断されても比較的軽く経過するものや、リスクが低いと思われた例でも重症化することがあり、完全に発症を避ける方法は見当たりません。