不妊治療Q&A

Q&A

【4】不妊症の治療について

8. どの程度まで卵管性不妊症は治療することができますか

 卵管は子宮腔と卵巣を結ぶ役10cmの細い管です。卵巣側はラッパのように開いており、漏斗部と呼ばれ、その先端が卵管采で扇状になっています。そこから卵が取り込まれますが、卵管の中央までが比較的内腔の広い部分で膨大部と呼ばれます。中ほどから子宮側にかけては内径が非常に細く、峡部と呼ばれています。細菌などの感染があるとこの細い部分が容易に閉鎖してしまいます。

 また、出口の太い部分は炎症で閉鎖しますとソーセージのように膨らんでしまい、卵管留水腫や卵管留膿腫という状態になります。また厄介な子宮内膜症が卵管の周囲にありますと卵管が変形したり、閉鎖したりする原因になります。このような卵管は部位により疾患の状態が異なり、卵管内腔に病変が及んでいない場合は手術も奏功することがありますが、全体的に見るとよい結果が得られておりません。程度の進んだ感染や子宮内膜症による卵管病変は、たとえ手術で通過性を回復させたとしても妊娠する確率はあまり多くありません。卵管内膜に広く病変が及んでおり、疎通性が回復されても妊娠に必要な卵管は機能の回復は望めない例が多いものと推察されています。これとは対照的に卵管結紮術後の卵管再建術の疎通性の回復は70%にも達し、半数以上が生児を得ています。