不妊治療Q&A

Q&A

【4】不妊症の治療について

44. 何故、胚の凍結保存が必要なのですか

 一回の採卵で平均10個ほどの卵子を得ることができます。体外受精を施行しますと、このうち約8割が受精し、6割に移植可能な良好胚が得られます。したがって、1人の患者から移植可能な胚は6個という事になります。そのうちの2~3個を移植しますので、3個程度が余剰胚として残るわけです。この残った胚を凍結保存し、後の治療で使用することが可能なのです。このように胚を無駄にすることなく、移植胚数を極力抑え、多胎妊娠の頻度を下げることができます。胚の凍結保存という技術なくしては、双胎を越える多胎妊娠を回避することは難しいのです。

 本法によって保存された胚を、初回の移植で妊娠しない場合2~3周期後に移植をしますが、移植当たり15~20%の妊娠率が得られます、また、凍結胚により分娩した児にも特に異常が多いという報告はありません。医学的にもこの技術は安全が確立されていると考えられています。

 また、GIFT療法においては、左右卵管に2個ずつの卵を移植しますが、一般には数個の卵が余剰卵となって残ります。この卵を体外で受精させ、胚としてから凍結保存することで、採卵当たりの妊娠率の向上を図ることができます。卵巣刺激や採卵に伴ういろいろな問題を少なくすることができます。なお、未受精卵を凍結保存できればよいのですが、凍結しても解凍時に損傷を受けることが多くいまだ成功例は極く少数です。一度受精させ胚とした後、凍結保存するのが一般的です。