正常の精巣には精子の基になる精祖細胞から精子まで全ての生殖細胞が見られます。また、精巣上体とは精巣に付属する精子を集める漏斗のような器官です。ＩＣＳＩはごく少量の精子で施行できますので、精巣や精巣上体組織片や、時にはそこから吸引して得た微量の精液から精子を探し出し、顕微受精に用いることができます。

　無精子症の約１５％を占める閉鎖性無精子症では精巣や精巣上体精子で十分妊娠が可能です。造精機能障害による無精子症の中でもごく少量の精子が精巣内に存在していることもあり、ＩＣＳＩの対象となる例もあります。もし、精巣内に精子が認められない場合でも、完全な精子になる直前の精子細胞を用いてＩＣＳＩが可能です。