女性の体と病気について

更年期障害とホルモン療法

ホルモン補充療法(HRT):1

ホルモン補充療法(HRT)ってなんですか?

女性は更年期を迎えるとエストロゲンという女性特有なホルモンが急激に減ります。コレにより様々な症状が出てくるわけです。 そこで足りなくなった女性ホルモンを薬剤で補うことにより、様々な症状を改善しよとするのがホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT )なのです。つまり肌が乾燥したら美容液で水分を補充する、というわけです。

ホルモン補充療法(HRT)ホルモン補充療法(HRT)を始めたら、
どのような症状が、どのように良くなるのですか?

のぼせ、ほてり、発汗、手足の冷えなどの更年期消化外の症状や、閉経後数年して発症する性器の萎縮(かゆみや性交痛)、尿失禁などの症状が改善されます。さらに皮膚に弾力性がもどり若々しい肌になりますし、骨のカルシウムの消失を抑制していたエストロゲンの分泌が低下することによっておきる骨粗鬆症に対しては、外からエストロゲンを補充するために効果があるとされています。
また、エストロゲンの低下による脂質代謝の異常に対しては、エストロゲンを補充することにより総コレステロール値を低下させることが期待できます。コレステロールには、動脈硬化を早める悪玉コレステロール(HDLコレステロール)が、HRTには善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすという理想的な効果があるとされています。しかし、HRTで動脈硬化性疾患の発症を抑えるデータはありませんし、長期間服用した場合にはむしろ危険性が僅かながら上昇するという報告もあります。

ホルモン療法はいつから始めたら良いのですか?

常は、未だ更年期を迎えず、十分活動的で更年期障害もなければ特に始める必要はありません。しかし、20代、30代でも卵巣の機能が不完全で月経が不順な人、または、月経が内皮ともいます。
この様な場合には更年期障害と同じ症状がでることもありますし、特に骨量が減って居る人もいますので、おかしいなと思ったら医師に相談しましょう。また、更年期はずいぶん前に終わってしまったという人も、手遅れと言うことはありません。まず、自分の体の状況を知ることから始めてみましょう。

ガンの心配はないのですか?

子宮内膜癌については、エストロゲンともう一つの女性ホルモンである黄体ホルモンを一緒に補うことにより、何もしていない人よりも子宮内膜癌になる危険性が減ることもわかっています。乳癌にかんしては増えるという報告と減るという報告があります。特に5年以上の長期投与では多少増加するという報告があります。
しかし、HRTを受けている人では、定期的に乳癌検診を行うため、早期発見が可能となるので、HRTを受けていない人よりも乳癌にかかったとしても、助かる率は高いとされています、また、卵巣癌についてもややリスクが高くなるという報告が最近ありましたので、定期検診は必ず受けましょう。
逆に大腸癌にかんしてはHRTを受けている人ではリスクが減るというデータが有ります。
その他の癌に関しては、現時点では特に問題はありません。

ホルモン補充療法の薬の補給方法は?

HRTには子宮の有無、閉経からの年数等を考慮して、いろいろな投与方法があります。担当の医師と話し合って貴女にあった服用方法を選ぶことができます。

生理がまた始まるのですか?

HRTを行う場合、周期的な投与方法だと黄体ホルモン服用後に生理と同じような出血がみられます。閉経したのにまた生理のような出血がおこるので、最初はちょっと驚かれるかもしれません。
しかし、”自分は生理のある若い体にもどったのだ”と割り切ってしまうのが良いでしょう。また、連続的な投与方法では少量の不正出血がしばらく続くことがありますが、半年から1年でしだいになくなっていきますので、心配することはありません。もちろん、排卵しているわけではありませんから妊娠の心配ないことは言うまでもありません。

副作用は有りませんか?

HRTを行うと、最初のうち軽いはき気や胸の張り、腹部膨満感などが見られることがあります。しかし、こういった症状は服用を続けていくうちにおさまります。また、HRTで太るということについても問題はありません。
一つ考えられるとすれば、HRTにより更年期障害の様々な悩みが解消し、食欲が回復して油断ををしていると体重が増えるということはあるかもしれません。