Q&A
【1】不妊症とは
16. 子宮内膜症の成因
なぜ子宮内膜組織が正規の場所から離れた組織に存在するかは不思議なことです。子宮内膜症は月経血の逆流によって起こるということが示唆されたのは70年前です。月経期の女性に腹腔鏡を施行した際、卵管采から月経血が逆流しているのを見ることはよくあります。逆流した内膜組織はダグラス窩 や卵巣、仙骨子宮靱帯、子宮後面や広靱帯などの骨盤腔の深いところに生着するものと考えられています。実際、月経期の女性の腹水から採取した子宮内膜組織片は、培養したり移植したりすることで増殖させることができます。
また、子宮内膜症はリンパは血行によって内膜組織が運ばれることにより、離れた組織中でも発生します。卵巣の子宮内膜症も、このリンパ行性の播種により説明することができます。子宮内膜症は身体のどの組織にも見られるものです、肺に起こっていれば、月経期に血痰をみることがあります。
もう一つの説は、子宮内膜症は体腔上皮が、子宮内膜組織へ化生することによっても起こる可能性が示唆されています。子宮内膜症は初経前の小児にも見られることがありますし、エストロゲンの大量投与による治療を受けた男性にも出現することがありますから、正常の子宮内膜が必ずしも存在しなくても内膜症は発生するものと思われます。