Q&A
【3】6大基本検査で異常が認められた場合
4. 乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)の検査で何が分かりますか
月経異常や排卵障害を認める場合、脳下垂体から乳腺刺激ホルモン(プロラクチン、PRL)というホルモンの分泌が亢進していることがあります。本来、このホルモンは分娩後授乳している時に分泌され、乳汁を分泌させるためのホルモンです。妊娠を望む女性に乳腺刺激ホルモンの異常分泌が起こると月経が不順になったり、排卵が傷害されます。
通常、PRLは間脳から分泌されるPRL分泌抑制因子によって放出が抑えられています。PRL分泌抑制因子の主なものはドーパミンと呼ばれるアミンです。また、向神経性薬剤(胃潰瘍の薬、坑ヒスタミン剤、精神安定剤など)によってもPRLの放出が起こるとされています。また、下垂体におけるPRL産生細胞が増殖し腫瘍を形成した場合にもPRLの放出が起こります。
PRLの放出を促す物質の代表的なものが、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)です。本来このホルモンは脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモンの分泌を促すものですが、PRLの放出作用も有しています。
日中に測定したPRLレベルが正常であっても、夜間に上昇して排卵障害や黄体機能不全を起こす原因になることもあります。これを潜在性高プロラクチン血症と呼びます。潜在性高プロラクチン血症を診断する方法としてTRHを投与し、脳下垂体からのPRL放出を刺激し、その反応性から潜在性高プロラクチン血症を診断する方法があります。