Q&A
【4】不妊症の治療について
13. 男性不妊に薬物療法は有効ですか
男性不妊症で原因が不明なものが9割を占めます。原因不明の男性不妊に対し、的確な治療法を行えるはずもありません。しかし、精子の状態を改善するためにいろいろな薬物療法が行われています。例えば、漢方、代謝賦活剤、ビタミン剤、ホルモン剤などが使用されています。数年前に諸家の論文に書かれたいろいろな男性不妊症に有効とされている薬剤の情報をコンピューターで分析した結果が報告されましたが、常用されている多くの薬物に精液所見を改善させる能力はほとんど認められないという報告が出ました。しかし、対照試験が行われているものの中でカリクレインとビタミンB12に有効性が認められています。抗エストロゲン剤であるクロミフェンやタモキシフェン、アンドロゲン、GnRHに関しては明らかな有効性は確認されていません。
このように男性不妊に対する明らかに有効な薬物は限られています。従来から使用されていたとの理由で、ただ漠然と薬剤を使用してはいけません。幸いなことに、今までは不妊症を専門とするものにとって精液の状態が極めて悪くても最新の医療技術を用いて不妊を治すことができるようになりました。ある程度期限を限って薬剤は使用すべきものと思われます。