Q&A
【4】不妊症の治療について
16. 精索静脈瘤手術は男性不妊に有効ですか
一部の男性不妊に精索静脈瘤と呼ばれる異常が関与しているといわれています。精索静脈瘤は精子を運ぶ管である精管の回りの静脈が拡張し、精巣からの血液の循環が傷害されると同時に、静脈を逆流した有害物が精巣に運ばれ、造精機能が悪化するといわれています。施設によっては10%内外の男性不妊患者に見られるという報告もあります。
実際、精索静脈瘤を結紮する手術を行いますと、約3/1に妊娠が見られるという報告がありますが、一方、この方法はあまり有効でないという意見もあります。筆者は起立時に膨隆した静脈瘤を認めるような場合で、明らかに精索静脈瘤が存在し、超音波断層診断あるいは静脈造影で確認された例に手術を勧めるようにしています。しかし精液所見が改善されればよいのですが、あまり改善されない例も少なくありません。この手術に過剰な期待をかけることは禁物です。性腺刺激ホルモン療法と同様に、男性不妊に対し高度生殖医療による治療で重度男性不妊でさえ治療が可能な今日、精索静脈瘤手術は極めて程度の強い症例に限り施行しても良いと思われます。