不妊治療Q&A

Q&A

【4】不妊症の治療について

17. 高度生殖医療(体外受精ー胚移植やGIFT)は男性不妊症に有効ですか

 男性不妊症の治療は後述するGIFTや体外受精-胚移植が発見されたため、その臨床成績は一変しました。精子濃度が500万/ml以上、運動精子濃度が350万/ml以上あればGIFTまたは体外受精ム胚移植で妊娠が期待できます。この基準を満たしていても、体外受精の約10%で受精率が不良なものが認められます。体外受精でも受精に至らないような重度の男性不妊症では、さらに顕微受精という方法を行い、妊娠が可能となりました。

 顕微受精:精子の機能検査、いわゆる形態、運動率、運動速度、運動の直線性などはなぜ重要なのでしょうか。それは膣内に射精された精子が頚管を遡上し、子宮口や卵管間質部峡部を通り卵管膨大部まで達するのに前述の機能は重要です。しかし、顕微受精では、これらの機能が損なわれていても妊娠は可能です。それは人為的に精子を直接卵子の中に一個注入するという新しい技術、「卵細胞質内精子注入法(ICSI)」と呼ばれる顕微受精が開発されたからです。

 現在、この方面の進歩は目ざましく、我が国の一部の施設でも良好な成績が得られるようになりました。本法を施行するには特別な設備と熟練した技術が必要であるため、広く普及するにはもうしばらくの期間を要すると思われます。