Q&A
【4】不妊症の治療について
31. 顕微授精の開発
体外受精ー胚移植やGIFTでも妊娠が難しい例に対して、1988年、顕微授精という方法が開発されました。最初に開発された顕微授精は卵を取り囲む透明帯という膜に精子が通過できる小さな孔を開け、受精を促進しようという試みで、透明帯部分切開法(partial zona disection、PZD)と呼ばれます。その後、透明帯と卵細胞膜の間に精子を数匹注入し受精を促進する囲卵腔内精子注入法(subzonal sperm injection、SUZI)が開発されました。1992年にはレーザー光線を用いて透明帯に孔を開けるというレーザー顕微授精という方法が、オーストリアで初めて開発され、妊娠に成功しました。1994年、日本でも最初のレーザー顕微授精に成功し、元気な赤ちゃんが誕生しています。これらの方法は、従来の体外受精では全く受精が望めなかった高度の乏精子症でも受精が期待できる画期的なものでした。しかし、受精率は施行した卵子の20~30%と低いのが難点でした。