不妊治療Q&A

Q&A

【4】不妊症の治療について

34. 調節卵巣過剰刺激についてもう少し説明してください

 月経の始まる頃には、卵胞は直径4~5mm程度で、左右に数個ずつ認められます。自然周期ではこの中の1個が抜きん出て急速に生長し排卵日頃には20mm前後まで生長し排卵します。しかし、HMGと呼ばれる性腺刺激ホルモンを月経3日目頃から投与しますと、一度に多数の卵胞が生長し、10日前後を経て直径約18mmになります。この時期に、卵胞破裂と最後の卵子の成熟を促すHCGと呼ばれるもう一つの性腺刺激ホルモンを注射します。卵胞破裂の直前のHCG投与後34~36時間目頃に卵法を穿刺し卵子を採取しますがこれを採卵と呼びます。

 自然周期では、卵胞が成熟した段階で卵胞から分泌多量の卵胞ホルモンに反応して、脳下垂体からLHが放出され排卵が引き起こされます。調節卵巣過剰刺激の途中で内因性のLHが放出されると採卵ができなくなります。これを防ぐため、子宮内膜症の治療で用いられるGnRHアナログ(商品名:スプレキュア)を前周期の高温期から中頃まで投与します。この投与方法がロングプロトコールです。卵胞の発育が不良な場合には、月経が始まった頃からこのホルモンを投与することもありますが、これをショートプロトコールと呼びます。この方法では卵胞の質がやや低下すると考えられています。