Q&A
【4】不妊症の治療について
35. 採卵についてもう少し説明してください
体外受精ー胚移植で妊娠するためには、まず卵子と精子が受精しなくてはなりません。受精とは卵子と精子が一つの細胞になることです。卵子は卵胞の中で卵胞液という液体の中に存在しています。この生長した卵胞に針を刺し、卵胞内の数mlの卵胞液を吸引しますと液の中には直径0.1mmほどの卵子が含まれています。実際にはこの卵子は卵丘細胞と呼ばれるゼリーのようなもので包まれているので、肉眼でも直径2~3mmのきらきらした物質として識別できます。
直ちに、プラスチックの薄いシャーレに移して、顕微鏡で観察します。ゼリー状の卵丘細胞が十分に広がっているのが成熟卵の兆候です。小さくまとまっているのが未熟卵で、卵丘細胞がほとんど残存していないのが過熟と判定されます。卵子の回りの密に並んだ放射冠と呼ばれる細胞のため、この段階では卵子の細胞質の状態を見ることはできませんので卵丘の広がりの状態で卵子の成熟度を判定します。卵胞に針を刺して吸引しても卵子が採取されない場合は、卵胞内を培養液でフラッシュし、確実に採卵を行います。採卵は痛みを伴いますので静脈麻酔が必要です。