Q&A
【4】不妊症の治療について
47. もう少し顕微授精について説明してください
受精とは精子と卵子が融合することです。そのためには精子は卵細胞を取り囲んでいると透明帯というゼリー状の膜を通過し、卵管周囲の空間(囲卵腔)へ進入し、卵細胞膜と融合し卵細胞の中に取り込まれなくてはなりません。精子の状態が極めて悪い場合には受精ができないことも少なくありません。透明帯を通過する能力がなかったり、卵細胞と融合する能力を持たない精子は、直接顕微操作下で授精を促すような方法を取ることがあります。この方法を顕微授精と呼びます。
顕微授精には
(1)透明帯の精子の通過する孔を開ける方法(透明帯部分切除法、PZD)
(2)透明帯下の囲卵腔に精子を注入する方法(囲卵腔内精子注入法、SUZI)
(3)直接卵細胞の中へごく微細な針を刺し精子を直接注入する方法(卵細胞質内精子注入法、ICSI)
の3つの方法があることはすでに説明しました。
3番目の方法は最近急速に進歩し、きわめて精子の状態の悪い不妊の方に施行し、通常の体外受精ー胚移植に匹敵するような受精率・妊娠率が得られております。ICSIを施行した卵の70%が授精し、50%が移行可能な良好胚となります。ICSIの胚を移植しても、通常の体外受精の妊娠率に極めて近い30%程度の妊娠率が得られています。