Q&A
【4】不妊症の治療について
60. 不妊専門医からのアドバイス
1) 不妊について取り越し苦労は禁物です:結婚後間もなく不妊を心配して治療を希望したり、以前の病気や手術について理由もなく過度に悩んだり、生理痛があるから子宮内膜症で妊娠できないなど思い込んではいけません。
2) 一人がってな考えは禁物です:誤って夫の気持ちを推測したり、周りの人の気持ちをマイナスにとらえたりするなど。「どうして子どもつくらないの」など聞く無神経な人(?)には、素直に「ほしいけどできないの」と少し悲しそうに応えたらいかがですか。
3) 信憑性に乏しい治療に惑わされないように:民間療法、胚芽米、マムシのエキスなど。あなたの不妊原因の改善にはほど遠いかもしれません。
4) 不妊症と呼ばれる病気はありません:不妊症は腹痛というのと同じで、その原因は様々です。ですから、どんな「不妊症」にも効く薬というものはありません。
5) 医療の過大評価や過小評価に惑わされないように:不妊治療にいろいろな考えがあり、必ずしも適切でない情報が広がっています。特に、具体的方法も示さずに「私はあの病院で妊娠した」などの話に飛びつくのは考えものです。
6) 不妊相談を活用していろいろな意見を聞いてください:自由に参加できる不妊の電話相談、ファックス相談、公開講座などを利用してください(情報誌を参考に)。
7) 治療の前に医師から説明を聞くことが大切です:検査方法と治療の見通し、必要な治療期間、副作用などの説明を受けてください。素人には説明が難しいなどという治療はありません。
8) 不妊治療は即効性を期待してはいけません:排卵は月に一度、何も異常がなくても半数の方が妊娠するのに半年はかかります。
9) 一般不妊治療は2~3年が一応の目安:初めて産婦人科を訪れる方の4~5割は一般の不妊治療で2年以内に妊娠します。2~3年以上通院しても、その後に妊娠する~は非常に少数です。その時点で、新しい治療法(ART)について考える必要があります。
10)ARTによる通院は1~2年が一応の目安:たいがい受精や配偶師卵管内移植(GIFT)をARTと呼びます。難治性不妊症に有効ですが、施設間で成功率が大きなさがありまだまだ問題があります。かかりつけの産婦人科医の意見を聞いたり、その施設で治療を受けた方から情報を得るのがよい方法です。
11)話もできない超満員病院や閑散とした病院も要注意:一人の医者任の持てる患者さんの数は限られています。かかりつけの他科の医者を通して得た情報や他の産婦人科医(知り合いがいればベスト)の意見を参考にしてください。
12)不妊治療継続の目安を立ててください:不妊治療に対する夫の考えを参考に、一応の治療期間を設定してください。つらいけれども、医師あるいは夫から中止を勧められた時の心構えを整理しておいてください。
13)ちょっと中休みも必要です:毎日の通院で生活が台無しになっては大変です。少し治療を忘れ趣味や旅行も大事です。
14)子育て願望からは少しはなれ、人生設計を変えてみては:日本の女性の中高年は人生の半分、今子どものいる方もいずれは二人だけの人生です。不妊治療や子育ての経済的マイナス面も考えてはいかがでしょうか。