不妊治療Q&A

Q&A

【14】多胎妊娠

2. アメリカにおけるARTの状況はどうなっていますか

 1997年、Feber はアメリカにおけるARTに伴う現状について述べていますが以下の通りです。多胎妊娠の頻度:アメリカ生殖学会における統計によると多胎妊娠の頻度は増加傾向にあり、減胎手術が可能で有ることを理由に胚移植数にこだわらない施設があります。1994年のアメリカ生殖医学会の報告では多胎妊娠率36.6%、6.7%が品(三)胎異常です。ARTから生まれた児の55%が多胎妊娠であり、15%が3胎異常です。原隊手術が」どの程度行われているかというデータはありません。1994年の報告によれば3胎では児の管理に単胎の11倍もの費用を要するとされています。4胎の40%に少なくとも1胎に発育障害が見られることもしられています。

  多胎妊娠に対する人々の考え:最近の調査によれば不妊患者は多胎妊娠を望んでおり、半数は3胎を、20%が4胎でもよいという調査結果が報告されています。多胎が新生児罹病率の多くの原因になるという事実にかかわらず、不妊専門病院は患者の要求を受け入れていますが、多胎が児の障害を招くことに関して患者を啓蒙することも重要だと言うことを考えなければなりません。

 医療費について:不妊学会のデーターベースがそれぞれの施設の優劣の指針としてかつようされ、妊娠率の優劣が施設の評価になっています。更に興味深いことにアメリカでは体外受精は保険の適用になりませんが、その後に生じる多胎にともなう医療コストは保険の対象となります。妊娠率が低下したとしても健児を得ること最優先にARTが施行される努力をする必要があります。多胎妊娠に伴う児の未熟性や障害などはそれを避けることにより、回避できるに関わらず安易に多胎妊娠を生み出していることを謙虚に反省しなければなりません。
(Feber K,Hum Repord 12:1614,1997)