Q&A
【14】多胎妊娠
5. 多胎妊娠に対する我が国の現状はどうなっていますか
胚移植数を3個に限定した日本産婦人科学会の会告は有る程度の効果を上げていますが、これが遵守されたとしても品胎を完全に予防できるわけではありません。一般に人々の間で双胎は受け入れられていますが、品胎に抵抗を感ずる人も多く、中にはやむを得ず全ての中絶を選択する人もいます。品胎以上の多胎妊娠は医学的にもいろいろな問題を抱かえています。
中絶が許されるわが国であって、減胎手術が試みられたことが報道されたことがあります。しかし、十分な論議もしないままに好ましからざるものとして、現在に至っています。また、減胎手術をうけるために遠方から訪れる人々は後を絶たないとの話を耳にしましす。
不妊専門医は多胎妊娠を生み出しておきながら、その後の責任はとらないという批判が医療者側からも聞かれます。確かに不妊専門医が心しなければならないことはありますが、不妊に悩む人々に、社会や行政が精一杯の支援をしてきたかいうといささか疑問を感じます。不妊に悩みながらやっとか叶った妊娠の喜びが、品胎の成立で悩みに変わった人々にどのような対応をすべきだろうか。妊娠はプライバシーの問題であり、個人の自己決定権が最大限に尊重されなければならないとう観点から、多胎に関わる問題を今一度考える時期にきています。
減胎手術に関していくつもの問題点はあります。それらを医療を施行する側にも等しく明らかにし、開かれた議論をすべきです。医療を施行する側は、いかにしたら減胎手術に伴う問題を減ずることができるのかについて、内外のデータを基に医学的に踏み込んだ議論をする必要があります。それらの議論を公開したうえで、当事者の決定にゆだねるべきであると考えるのは間違いでしょうか。