2026年9月10日

不正出血・飲み忘れ・吐き気・頭痛・だるさなどについて
当院では、月経困難症や子宮内膜症、月経コントロール、避妊などを目的として、LEPやOC(いわゆる低用量ピル)を処方しています。
服用を始めると、
- 途中で出血した
- 生理のような出血が始まった
- 薬を飲み忘れた
- 吐き気がする
- 頭痛がする
- 体がだるい
- 乳房が張る・痛い
- むくむ
- このまま飲み続けてよいのかわからない
といった症状や疑問が出てくることがあります。
特に服用を開始した最初の1~3シート程度は、体がホルモンの変化に慣れていないため、不正出血や吐き気、頭痛などの症状がみられることがあります。
このページでは、当院でLEP・OCを処方されている方が、こうした症状が出たときに「そのまま飲んでよいのか」「休薬した方がよいのか」「受診した方がよいのか」を判断しやすいようにまとめています。
まず最初に:症状を3段階で考えてください
① 軽い症状で、日常生活に大きな支障がない
例えば、
- 軽い吐き気
- 軽い頭痛
- 少量の不正出血
- 乳房の張り
- 軽いだるさ
- 軽いむくみ
などです。
このような症状は、特に飲み始めの時期にみられることがあります。
症状が軽ければ、原則として予定どおり服用を続けて様子をみてください。
服用を続けるうちに軽くなることも少なくありません。
② 症状が強い、長引く、日常生活に支障がある
例えば、
- 吐き気が強く食事がとれない
- 頭痛が繰り返し起こる
- 頭痛が以前より明らかに強くなった
- 乳房痛が強い
- 強いだるさが続く
- 出血が長期間続く
- 症状のため仕事や学校に行けない
といった場合です。
この場合は、無理に服用を続ける必要はありません。服用を中止して、当院を受診してください。
ただし、途中で服用を中止すると、
- 数日後に生理のような出血(消退出血)が起こる
- 月経周期が一時的に乱れる
- OCの場合は避妊効果が期待できなくなる
ことがあります。
薬の種類を変更したり、用量の異なる製剤に変更したりすることで改善することもありますので、受診時にご相談ください。
③ 突然の強い症状・いつもと明らかに違う症状
これは通常の「ピルの飲み始めの副作用」として様子をみてはいけません。
後述する血栓症などの危険な症状に該当する場合は、薬を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
当院で処方しているお薬
LEP
月経困難症や子宮内膜症などの治療に用いるお薬です。
- ルナベルLD
- ルナベルULD
- フリウェルLD
- フリウェルULD
- ヤーズ
- ドロエチ
- ヤーズフレックス
- ドロエチフレックス
- アリッサ
- ジェミーナ21
- ジェミーナ28
OC
主に避妊を目的として使用する低用量ピルです。
- トリキュラー28
- ファボワール28
- ラベルフィーユ28
1.吐き気・胃のむかつきがある
ピルを飲み始めた直後には、軽い吐き気や胃のむかつきを感じる方がいます。
軽い吐き気の場合
食事がとれていて、吐いてしまうほどではなければ、原則として服用を続けて構いません。
吐き気が気になる場合は、
- 空腹時を避けて服用する
- 夕食後に服用する
- 就寝前に服用する
など、服用時間を変えることで楽になることがあります。
毎日ほぼ同じ時刻に服用できれば、食前・食後にこだわる必要はありません。
多くの場合、飲み続けて体が慣れてくると症状は軽くなっていきます。
吐き気が強い場合
- 食事がほとんどとれない
- 日常生活に支障がある
- 吐き気が何日も強く続く
- 何度も嘔吐する
場合は、無理に飲み続けず、服用を中止して当院を受診してください。
2.薬を飲んだあとに吐いてしまった
服用後すぐに嘔吐すると、薬が十分に吸収されていないことがあります。
服用してから3時間以上経過している
1回だけの嘔吐で、その後体調が落ち着いている場合は、通常はそのまま次の錠剤を予定どおり服用してください。
服用後3時間以内に嘔吐した
薬が十分吸収されていない可能性があります。
飲み忘れに近い状態と考え、可能であれば予備のシートから同じ実薬をもう1錠服用し、その後は通常のスケジュールに戻してください。
嘔吐や激しい下痢が続いている
薬の吸収が不十分になる可能性があります。
特にOCを避妊目的で使用している方は、避妊効果が低下する可能性があるため、コンドームなど他の避妊方法を併用してください。
嘔吐や下痢が続く場合は受診してください。
3.頭痛がある
軽い頭痛は、ピルを飲み始めた時期にみられることがあります。
普段経験する程度の軽い頭痛
軽い頭痛で、視覚症状やしびれなどがなければ、原則として服用を続けて構いません。
必要に応じて、普段使用して問題のない鎮痛薬を使用して構いません。
飲み始めの数周期に頭痛が増える方でも、継続することで改善することがあります。
頭痛が強い・以前と変わった場合
次の場合は、通常の副作用として自己判断で様子をみず、服用を中止して当院を受診してください。
- 今までなかった強い頭痛が出てきた
- ピルを飲み始めてから明らかに頭痛が悪化した
- 頭痛を繰り返すようになった
- 鎮痛薬を飲んでも改善しない
「前兆」のある片頭痛には特に注意してください
頭痛の前に、
- 視界がチカチカする
- ギザギザした光が見える
- 視野の一部が見えなくなる
- 手足や顔がしびれる
- 言葉が出にくくなる
などの症状が現れる場合があります。
これは「前兆を伴う片頭痛」の可能性があります。
このような症状が新しく出現した場合は、LEP・OCの服用を中止し、受診してください。
4.乳房が張る・痛い
ピルを飲み始めると、
- 乳房が張る
- 胸が重く感じる
- 押すと少し痛い
といった症状がみられることがあります。
軽い乳房の張りであれば、原則として服用を続けて様子をみて構いません。
飲み続けることで軽くなる場合があります。
ただし、
- 痛みが非常に強い
- 片側だけに強い症状がある
- しこりを触れる
- 血性の乳頭分泌がある
場合は、ピルの副作用だけとは限りませんので受診してください。
5.だるい・眠い・疲れやすい
服用開始後に、
- 体がだるい
- 眠気がある
- 疲れやすい
と感じることがあります。
軽い症状で日常生活に支障がなければ、まずは服用を継続して様子をみてください。
数週間~数周期で気にならなくなる方もいます。
ただし、強い倦怠感が続く場合や、他の症状を伴う場合は受診してください。
6.むくみ・体重の変化が気になる
ホルモン剤の影響によって、一時的に水分をため込みやすくなり、
- むくんだ感じがする
- 体重が少し増えた
- 指輪や靴がきつく感じる
といったことがあります。
軽度であれば、服用を続けて経過をみて構いません。
ただし、片脚だけが突然腫れる、痛む、赤くなる場合は、単なるむくみではなく血栓症の可能性があります。
この場合は服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
7.気分の落ち込み・イライラなど
ピルの服用中に、
- 気分が落ち込む
- イライラする
- 気分が不安定に感じる
という方もいます。
症状が軽ければ、まず経過をみても構いません。
ただし、
- 日常生活に強く影響する
- 気分の落ち込みが長く続く
- 以前と明らかに精神状態が変わった
場合は、薬の変更を含めて検討しますので受診してください。
8.不正出血がある
ピルの飲み始めや飲み忘れの後には、少量の不正出血が起こることがあります。
特に最初の数シートでは珍しいことではありません。
出血したからといって、原則として自己判断で予定より早く休薬しないでください。
薬によって対応が異なります。
21日服用+7日休薬
対象
- ルナベルLD・ULD
- フリウェルLD・ULD
- ジェミーナを21日+7日休薬で服用している方
1~21日目に少量~通常の生理程度の出血があっても、原則として21日目まで服用を続けます。
その後7日間休薬し、出血が残っていても29日目から次の周期を開始してください。
24日服用+4日休薬
対象
- ヤーズ
- ドロエチ
- アリッサ
- ヤーズフレックスを24日+4日法で服用している方
- ドロエチフレックスを24日+4日法で服用している方
1~24日目に出血しても、原則として24日目まで服用します。
その後4日間休薬し、出血が残っていても29日目から次の周期を開始してください。
9.ヤーズフレックス・ドロエチフレックスを連続投与している場合
1~24日目
出血していても服用を続けます。
25日目以降
- 出血1日 → 継続
- 出血2日連続 → 継続
- 出血3日連続 → 翌日から4日間休薬
4日間休薬したら、出血が残っていても5日目から再開してください。
また、120日間連続服用した場合は、出血の有無にかかわらず4日間休薬します。
10.ジェミーナを77日間連続投与している場合
ジェミーナには、
- 21日服用+7日休薬
- 77日服用+7日休薬
の2通りがあります。
77日連続投与の場合は、
77日間服用 → 7日間休薬 → 85日目から次周期開始
が基本です。
途中で少量~通常の生理程度の出血があっても、原則として自己判断で休薬せず服用を続けてください。
注意
ジェミーナには、ヤーズフレックス・ドロエチフレックスのような、
「25日目以降に3日間出血したら4日休薬」というルールはありません。
11.LEPを飲み忘れた場合
対象
- ルナベルLD・ULD
- フリウェルLD・ULD
- ヤーズ
- ドロエチ
- ヤーズフレックス
- ドロエチフレックス
- アリッサ
- ジェミーナ21・28
前日の1錠を忘れた
気づいた時点で、飲み忘れた1錠を服用してください。
当日分も通常の時間に服用します。
そのため、同じ日に2錠服用することがあります。
2日以上忘れた
気づいた時点で前日分の1錠だけを服用してください。
それより前の飲み忘れ分を何錠もまとめて服用しないでください。
当日分は通常の時間に服用し、その後は元のスケジュールに戻します。
12.OC(避妊用ピル)を飲み忘れた場合
対象
- トリキュラー28
- ファボワール28
- ラベルフィーユ28
プラセボ(偽薬)の飲み忘れ
- 問題ありません。
- 忘れたプラセボは飛ばして構いません。
- ただし、次のシートの実薬開始日を遅らせないでください。
実薬を1錠飲み忘れた
気づいた時点で飲み忘れた1錠を服用し、当日分も通常の時間に服用してください。
実薬を2日以上連続して飲み忘れた
避妊効果が低下する可能性があります。
当院を受診してください。
特に、
- 飲み忘れ前後に避妊をしない性交があった
- 新しいシートを開始した直後に飲み忘れた
- 次シートの開始が遅れた
場合には、妊娠の可能性や緊急避妊の必要性を判断する必要があります。
13.途中でピルをやめても大丈夫?
吐き気や頭痛などの症状が強く、「とても続けられない」と感じる場合に、無理に服用を続ける必要はありません。
ただし、途中で中止すると、
- 数日後に生理のような出血(消退出血)が起こることがある
- 出血の時期が予定より早くなる
- その後の月経周期が一時的にずれることがある
- 月経困難症などの治療効果がなくなる
- OCの場合は避妊効果が期待できなくなる
可能性があります。
強い副作用のために中止した場合は、次のシートを自己判断で再開せず、当院を受診してください。
別の種類のLEP・OCへ変更することで症状が改善する場合もあります。
14.この症状があれば、すぐに服用を中止して医療機関を受診してください
LEP・OCでは、まれですが血栓症という重大な副作用が起こる可能性があります。
以下のような症状は、通常の「飲み始めの副作用」として様子をみないでください。
- 突然の強い胸痛
- 突然の息苦しさ
- 片脚だけの強い痛み・腫れ・赤み
- 突然の激しい頭痛
- 今まで経験したことのない強い頭痛
- 突然見えにくくなる
- 視野の一部が欠ける
- ろれつが回らない
- 言葉が出にくい
- 顔や手足のしびれ
- 手足に力が入らない
このような症状がある場合は、服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
夜間・休診日で症状が強い場合は、当院の診療時間を待たずに救急医療機関を受診してください。
15.このような場合も当院を受診してください
- 吐き気や頭痛などが強く、服用を続けられない
- 症状が何週間も改善しない
- 頭痛の性質が以前と変わった
- 不正出血が長期間続いている
- 通常の生理より明らかに出血量が多い
- 1~2時間程度でナプキン交換が必要な出血が続く
- 大きな血のかたまりが何度も出る
- 強い腹痛がある
- めまい・ふらつきが強い
- 妊娠の可能性がある
- OCの実薬を2日以上連続して飲み忘れた
- OCの飲み忘れ前後に避妊をしない性交があった
- 何日飲み忘れたかわからない
- このページを読んでも対応がわからない
16.よくある質問
-
飲み始めて数日ですが、少し気持ち悪いです。やめた方がいいですか?
-
軽い吐き気だけで食事もとれているのであれば、まずは服用を続けてみてください。
夕食後や就寝前に服用すると楽になる場合があります。
強い吐き気が続き、日常生活に支障がある場合は中止して受診してください。
-
頭痛がします。飲んで大丈夫ですか?
-
普段経験する程度の軽い頭痛で、視覚異常やしびれなどがなければ、服用を続けて様子をみることができます。
ただし、今までと違う強い頭痛、新しく始まった片頭痛、光がチカチカするなどの前兆を伴う頭痛の場合は、服用を中止して受診してください。
-
胸が張っています。大丈夫ですか?
-
飲み始めにみられることがある症状です。
軽い乳房の張りであれば、服用を続けて様子をみて構いません。
強い痛みやしこりなどがある場合は受診してください。
-
ピルを途中でやめたらどうなりますか?
-
途中で中止すると、数日後に生理のような出血が起こることがあります。
また、OCの場合は避妊効果が期待できなくなります。
副作用が強くて中止した場合は、次の薬の選択について当院を受診してください。
-
出血したら休薬した方がいいですか?
-
原則として、出血しただけでは予定より早く休薬しません。
薬によって休薬方法が異なるので、このページの該当する薬の項目をご確認ください。
17.まとめ
LEP・OCを飲み始めると、特に最初の数週間~数周期には、
- 不正出血
- 吐き気
- 頭痛
- 乳房の張り
- だるさ
- むくみ
などがみられることがあります。
症状が軽く、日常生活に大きな支障がなければ、原則として服用を続けて様子をみてください。
一方、
- 症状が強くて服用を続けられない
- 症状が長く続く
- 頭痛の性質が以前と変わった
- 出血量が非常に多い
- OCを2日以上連続して飲み忘れた
- 妊娠の可能性がある
場合は、当院を受診してください。
また、
- 突然の胸痛・息苦しさ
- 片脚だけの強い痛みや腫れ
- 突然の激しい頭痛
- 視覚異常
- ろれつが回らない
- 手足のしびれや麻痺
などがある場合は、服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
生殖補助医療の治療日程を調整する目的でLEPを処方されている方については、通常の月経困難症治療とは服用目的が異なりますので、当院から個別に説明された服用方法を優先してください。
参考
本ページは、各医薬品の電子添文・患者向医薬品ガイド、製薬会社の適正使用情報、日本国内および海外のホルモン剤・経口避妊薬に関する診療指針などを参考に作成しています。
※本ページは、当院でLEP・OCを処方されている患者さんが、服用中に症状が出た際の一般的な対応を確認するためのものです。個々の治療内容や病状によっては、医師から個別に指示された服用方法を優先してください。
