02. ホルモン療法
月経困難症、子宮内膜症、子宮筋腫などに対して、ホルモン療法が行われることがあります。保険適用のある低用量ピル、黄体ホルモン製剤、黄体ホルモン放出子宮内システム(ミレーナ)、GnRHアナログ製剤などの使用がすすめられます。
低用量ピル(LEP)
エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを低用量で配合した薬です。排卵を抑制し、子宮内膜を薄くすることで、経血量を減らし、痛みを軽減します。排卵を抑制して避妊効果があり、生理前に起きる黄体ホルモンの上昇を防ぐためPMSの症状が軽くなります。また、子宮体がん、卵巣がん、胃がん、大腸がんにかかるリスクを下げて、子宮内膜症の治療効果も期待されます。女性ホルモンを少量補充する治療なので、肌荒れの改善、脂質代謝の促進など、アンチエイジング効果も期待できます。副作用として、飲み始めの時期は不正出血、嘔気、乳房の張り等を自覚する場合がありますが、ほとんどの場合で自然に軽快します。タバコを1日15本以上吸われる方は、血栓症リスクが特に高まるので、この薬を内服することはおすすめできず、下記の黄体ホルモン製剤の内服をおすすめします。
黄体ホルモン製剤
プロゲステロンのみを含む薬です。子宮内膜を薄くし、月経血量を減らす効果があります。低用量ピルの内服で吐き気の副作用が強く出て内服できない方や、肥満等、血栓症リスクのある方に適した薬です。うまくいけば、内服している間は月経が来ないため快適な生活が期待できます。子宮内膜症の治療効果や、子宮体がん、卵巣がんの予防効果も期待されます。
黄体ホルモン放出子宮内システム
(IUS)
子宮内に小さな装置(商品名:ミレーナ®)を挿入し、そこから黄体ホルモンをゆっくりと放出する方法です。月経を止める効果が期待できます。最長5年間子宮内に入れておくことができ、日々ホルモン薬を内服しなくても生理痛や出血がなく快適に過ごせることが期待されます。子宮内に入れる際に、痛みを伴う場合があります(お産を経験されたことのある方は比較的痛みが少なく入れることができます)。
GnRHアナログ製剤
(レルミナ、リュープロレリン)
女性ホルモンの分泌を抑え、結果として生理痛を軽減します。また、子宮内膜を薄くすることで、経血量を減らす効果があります。さらに、子宮筋腫や子宮内膜症による過多月経、骨盤痛などの症状を改善します。月経痛やその他の症状が改善されることで、日常生活の質が向上し、仕事や勉強に集中できるようになります。投与期間が長くなると、副作用として、発汗、ホットフラッシュなどが起こることがあります。その頃には生理痛は改善していることがほとんどなので、そこから低用量ピルや黄体ホルモン製剤に変更していくこともおすすめです。