不妊治療Q&A

Q&A

【4】不妊症の治療について

54. 子宮異常による流産

 流産の原因が子宮にある場合も少なくありません。幸いなことに適切な処置をすれば、流産を防ぐことができますから、正確な診断が重要です。子宮卵管造影は単独では子宮の内腔の形状しかわかりませんが、子宮奇形は経膣超音波診断とMRIにより子宮奇形の種類が選別できます。子宮筋腫や子宮腺筋症と呼ばれる疾患については、すでに述べました。

 子宮頚管無力症といって子宮頚部が非常に柔らかく、流早産になるものを頚管無力症と呼びます。この場合は頚管縫縮術が有効です。頚管縫宿術には妊娠12週前後に子宮頚管上部(内子宮口付近)で頚管周囲にテフロンの糸を通し結ぶシロッカー手術と妊娠中期に外子宮口付近で結ぶマクドナルド手術があります。

 卵管、子宮、膣などにの内性器は左右のミューラー管と呼ばれる管状の原基から作られます。その発生の際、いろいろな段階で異常が生じます。左右の管が癒合せず、子宮体部から分離した状態になる奇形がよく見られます。主な手術は、双角子宮に対しては軽度の場合はStrassmann手術を用い、高度の場合にはJohns and Jones 手術を用います。一方、中隔子宮の場合にはTompkins手術を用います。いずれの手術も中隔を切除し内腔を一つの部屋にするものですが,切除方向や縫合の方法に多少の違いがあります。最近、子宮鏡を用いて子宮中隔を切除する方法が開発されました。侵襲も少なく今後の普及が期待されます。