不妊治療Q&A

Q&A

【10】採卵、子宮内内膜、着床

8. 着床に関与する接着分子とはどんなものですか

 接着分子は細胞と細胞、あるいは細胞と細胞外基質を結びつけるもので、かつてはフィブロネクチン、コラーゲン、ラミニンなどのような細胞外基質を構成するタンパク質のみを指していました。最近では、分子レベルにおける接着分子と呼ばれるいくつものファミリーが存在していることが明らかとなり、これらを含めて接着分子と呼ぴます。特に細胞外基質蛋白に対するリセプター群はインテグリンとして知られています。インテグリンはそもそもフィブロネクチンに対して細胞外の情報を、細胞骨格に伝達する、すなわちインテグレートする分子という意味で名付けられた名称です。現在、少なくとも11種のα鎖と5種類のβ鎖が同定されており、構成される15種類のインテグリンが知られています。

 卵子の表面にはインテグリンα6β1が存在し、精子の赤道面にはフィブロネクチンやビトロネクチンが存在します。これらが結合し卵子と精子の結合が成立します。

 着床期内膜にもフィブロネクチンやβ1インテグリンが増加しており、月経周期19日以降の、いわゆるインプランテーションウインドウにα5β3インテグリンが発現してきます。α5β3インテグリンはビトロネクチンやフィブロネクチンなどに見出される蛋白と結合する特別なインテグリンです。これらの接着分子が胚に発現したリガンドとなる接着分子と結合し、着床が成立すると考えられます。このように種々の接着分子が妊娠成立に関わる受精から着床に重要な役割を演じています。

 これらの接着分子が欠乏する場合には、妊娠成立に関係するいろいろな段階が障害され不妊症に結びついていると推測されています。しかし、接着分子は重要な役割を演じているという実験データはありますが、実際にこれらを不妊治療に応用するレベルには至っておりません。